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一定の理論に基づいてツボを選び、そこに髪の毛のように細い針を刺したり、もぐさを使って灸を据えたりするのが鍼灸治療です。理論の大本は中国古代の医学書「黄帝内経(こうていだいけい)」ですが、長い年月が経つうちに色々な派に分かれました。痛いところをめがけてびっしりと針を刺す一派や、皮膚の表面を浅くなでるように針を刺す一派など考え方もやり方も様々です。 按心堂治療院の鍼灸治療は古来中国で培われて来た「中医学」という理論を土台にしています。 中医学は大変長い歴史を持っています。アルプスの氷河で見つかった四千年前のミイラ、アイスマンにも腰痛治療のツボの入れ墨がはいっていたそうです。この中医学の特徴は陰陽・五行という自然哲学を人間の病態分析にも適用し、治療の指針としていることにあります。具体的に言うと、からだのあちらこちらに現れている様々な症状をひとまとめに説明出来る核心とも言える概念を導きだし、その核心に対して治療を施すということを行います。
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例を挙げましょう。疲れるとからだが冷えてしまい胃腸が弱くお腹をこわしがちで肩や腰も痛むといった人がいるとします。この人の諸症状の核心にあるものは「冷え」です。冷えが胃腸や肩腰に作用して一連の症状を引き起こしていると中医学では考えます。そこで冷えを改善するツボを選び針や灸を使って体を温めるような治療をして行くと言うことになります。 症状を構成要素別に分解しその要素に対応したツボに針を刺すことになるので当院では針の本数は少なめ、痛さは控えめです。治療中眠りに落ちてしまう方もいらっしゃいます。 当院での治療は、肩だけ・腰だけといった部分の状態の改善だけをねらった治療にはなりません。現代医学の病院では各科にまたがり分散してしまう諸症状を一つにまとめ、体の状態を総合的に判断し、全身治療を行っています。治療の効果も、体のあちこちに出ていた様々な症状が同時多発的に改善して行くということが起こります。 |
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当院で使っている使い捨ての針。一本ずつ滅菌されパックに詰められている。太さ0.3mm・長さ50mm(上)と太さ0.25mm・長さ40mm(下)。 |
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痕が付かないお灸、カマヤミニ(左)。もぐさが紙の筒につめてある。燃焼時の温度は45°ほど。当院では直接灸はあまりやりません。 |
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